我らが獅子舞様は時々突拍子も無い、むしろ何の意味も成さないような
提案を出す。そしてそれはいつもはた迷惑なものであり、その被害を
一身に受けるのが特戦部隊の面々なのである






「王様ゲームしねぇ?」















絶対的捕食者

















ロッドは微笑んでいた。マーカーも笑みを浮かべていた
Gでさえ熊がいなくとも微笑んでいた。
ただ三人とも一様に顔が真っ青で少し押せばそのまま倒れて意識を失いそうだったが


ハーレムの元に報告用書類を持っていったマーカーが隊長がお呼びだ、と
ロッドとGの居るラウンジにやってきたのがついさっき。三人同時に呼び出し
なんてさして珍しいことでもなく、どうせ小さく神経質な字がみっちり敷き詰められた
マーカーの報告書に軽くイラついた八つ当たりだろうと予測できた

それか、ただの暇つぶしか




今回は後者だったわけだ


じわじわと這い上がってくる悪寒とともに何か焼かれるような
感触に目線だけ後ろに投げかけるともうすでに口だけで笑っているマーカーが
ロッドの背を焦がしていた


口だけ笑みの形に結んでいるのだから当然目は笑っていない


ああ大型水族館で見た鮫が確かこんな目をしていたな、と
どうでもいいが今の自分の状況をまざまざと知らされる思い出を引き出してしまい、
ロッドは小さくため息をついた


目の前の獅子舞は楽しそうに笑っている
それはリキッドボーヤを苛めるときにしか見せなかった笑顔だ


これではっきりした
絶対に逃げられない。あれは捕食者の目だ。




最後の頼み綱のGを見やれば胸元から取り出した熊に頬ずりしている
耐え難い現実に精神が早々に白旗を掲げたらしい




絶対に逆らえないことは自分たちは勿論、目の前でギラついた目を
している隊長に至ってはそれを最大限利用している身。活用では無く
あくまで利用しているのだ
す、と目の前に出されたはずれ馬券を切って作っただろうお手製の
番号札になんとなく事情を察した。


暇つぶし兼憂さ晴らしか。そう言えばちょうど競馬中継ラジオの
放送時間が終わったところだ


「隊長、此処では狭くは無いですか?」
「あ?んじゃ寝室に移るか」


事態は更に悪化した
今の隊長の不機嫌具合ではお前ら目の前でヤってみろくらいは
平気で言い放つかもしれない。しかも寝室だ。場所としてはこれでもかと
言うくらいおあつらえ向きでしかも隊長の寝室なら各種小道具も揃っていると
この前自慢された気がする



三人が目配せをし合ってパニックに陥ってる最中、隊長はさっさと寝室へと
続く扉、いや三人にとっては地獄へと続く扉の開閉ボタンをぽちりと押していた

















こうなってはもう腹をくくるしか無いのである
こんなむさ苦しい平均身長190を超える筋肉の塊だけでやってもしょうがない
と思うのは王様ゲーム、そうゲームと言う事を免罪符に女の子といやらしいことを出来るものと捉えているからだ。
だからこれはきっと隊長が王様ゲーム本来の意味を教えるために企画したことなのだ。
きっと命令も5分でケ○タッキーのチキン買い占めて来いとか、無期限で良いからツチノコ捕って来いとか、
理不尽なことを要求されるくらいだ。出来なかったら給料が一生貰えなくなるかも知れないが


何故か4人ともベットの上に円を描くように座り、中心に向かって伸ばされた隊長の握られた手から
札を一枚一枚取って行く。場所取りに出遅れたロッドは隊長の真正面というあまりに弄られやすい
位置に座しており、札を引くときに見た隊長の満面の笑顔を早く忘れようと俯いていた


右隣のGも、左隣のマーカーも隊長とは目を合わさないように必死だ





「王様だーれだッ!」





ナマハゲのような掛け声に4人が一斉に札を見る
ロッドの札は2番、Gの札は3番、残るはマーカーと隊長


ああ、隊長の機嫌がまだ下がった。多分マーカーが王様なのだろう



「おめぇか?マーカー」
「はい」
「…じゃ、命令しろ」



隊長の悔しそうというかむし恨みがましい視線、Gとロッドの頼むから普通の
命令にしてくれよ間違っても痛いのは嫌だからな、という縋るような祈るような視線を
受けてマーカーは逡巡する。


出来ることなら「退室させてください」と言いたい
しかしそれではGに無言で責められ、ロッドには逆に一週間は余裕でブーイングを
垂れられるだろう。そして何よりも此処で隊長の機嫌を損ねようものならリキッドの
代わりのおもちゃにされるかも知れない。まだ人権は保持していたい。


適当な命令ではぬるいと怒られるに決まっている
だからと言って隊長がどんな命令を望んでいるのかは想像に難い。いや絶対に無理だ。
長年付き添ってきてもそれだけは解らない。機嫌が悪いときの隊長は好きな食べ物まで
ころころ変わる。







ふ、と小さく笑ってマーカーは顔をあげた
その表情は一遍の曇りも無く燦然と輝いていた






「命令権を放棄します」










隊長がなんだよ欲が無ぇ奴だな、とぶつぶつ言いながら番号札を
回収する。ともすれば逆鱗に触れていたかもしれないが、それは何とか回避できたらしい
Gとロッドも死の淵から生還したような満ち足りた笑みを浮かべている



しかし同じ手は二度使えない
もしこの後Gかロッドが王様になってしまったら終わりだ
二人ともぶるぶると震えだしてお互いにきつく手を握ってこの恐怖から逃れようとするが、
震えは一向に収まらはずも無く



「王様…お、俺だ♪」



ハーレムの嬉しそうな声が寝室に響く
マーカーはおめでとうございます、と抑揚無く言ってからこれから下されるどんな命令にも
心を乱さないように無我の境地にたっていた


「命令…あ、何お前ら手繋いでんだよ」
「「え」」
「決定、お前らちょっと目の前で一発ヤれ」
「ちょ、隊長王様ゲームなんすから番号で命令してくださいよ!」
「二人で俺のチ○コ舐めんのとどっちが良い?」
「すいません前者で」


流れるように決まった処刑方法に命令を受けた二人は顔を見合わせて
弱弱しく微笑んだ。隊長にこうして遊ばれることが解っていたから想いを
寄せ合っていることをひた隠しににしてきたのに。あのマーカーにもバレなかった
程完璧に隠し通せてたのに


恐怖のあまり思考回路が鈍ってしまったようだ
早くしろとベットから降りてソファーにふんぞり返っている獅子舞を少し
呪いたくなったが、その横で既に傍観者を気取っているマーカーを呪うことにした





もうどうしようもない、とGがロッドをベットに横たえたとき、
短い警報とともに通信が入った




「よー叔父さん、ちょっとB国まで行ってくんない?」



不遜な声は新しく総帥となった可愛くない甥だった
可愛くなくても総帥は総帥、久しぶりに特戦部隊の出動命令を出すことと
なったらしい


ハーレムはベットで固まっている二人をちらりと見、大げさに舌打ちしてから
立ち上がり、準備をしておけとだけ言い残して通信室へと消えていった













「「「助かった…」」」












搾り出された声は、通信室から聞こえる怒鳴り声によってかき消された









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なんだこれ(最近そればっか)

普通なら特戦の皆様方がうっふんあっはんな展開になるんで
しょうが書けません。何って喘ぎ声が(黙れ)


Gロド書きたいのに何故か書けない。
打ってみれば特戦ギャグ。苦し紛れにいれたGとロッドの絡みが
かえって寒々しいという出来に。


Gロドは大人しく絵に留めておこうかな…



2004.7.28up
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