それは日常に組み込まれていたのだから
気にしなければこの先ずっとそのままで
あったろうが、一度気にしてしまえばそれは
安易に崩れ去る











愛シ
君ノ名ヲソノ身ニ纏イ














「ずっと気になっていたのだが」
「んぇ?」


やっと取れたアラシヤマの休暇に合わせて
ガンマ団に足を寄せた特戦部隊たちは、
当たり前の様にアラシヤマの私室を荒らして
騒いでいた


部屋の主で疲れているはずのアラシヤマに
料理を作らせ、押しかけた本人たちは買いこんできた
酒を広げている


唐突に話しかけられたせいで間抜けな返事を
してしまったロッドがチューハイの缶を開けながら
続きを促す


「なぁにマーカーちゃん」
「いつもしているバンダナがあるだろう」
「これ?」
「そうだ」


いつも、今も勿論しているロッドのバンダナは
赤地に黒いガンマ団のロゴが入ったごく普通の、
ともすれば売店で一枚500円くらいで売られてそうな
ものだ


別にはずす理由も無いからつけているような、
最初つけようと思った理由ももう忘れてしまった


気にする奴なんていたんだ、とチューハイを飲みながら
思う。しかもそれは己以外は屑の冷酷チャイニーズだ


バンダナも屑のうちに入るんだろうから
気にしなきゃいいのに、と
ロッドは至極当然の事を思い、それを口に出そうと
したが瞳孔が開ききったチャイニーズを見て思い直した


大分酔っているらしい


「えーと、何が気になるの?」
「解からんのか」


いきなり発火しないように満面の笑顔でもって
対応するが、瞳孔が開いたマーカーの目が不機嫌そうに
細められ、自慢の笑顔はそのまま固まってしまった


思うように動かない首を反り返らせて
後方の地べたに座って酒を飲んでいるハーレムと
Gに助けを求めるが、かちりと合った視線は自然な
流れではずされてしまった


変な方向で酔ってるマーカーの相手は
ロッドに任せることに決定したらしい


「ごめんねマーカーちゃん、俺馬鹿だから説明して欲しいなぁ」


諦めたように猫なで声を出せば、
心底馬鹿に仕切ったため息をつかれ、舌打ちまでされた


「ふん、まぁ貴様の脳みそには微塵も期待してないが」


じゃあ最初から解かりやすくすればいいだろうと
ロッドは思ったが、口に出せば間一髪入れずに
炎に襲い掛かられるのでやめにした


「そのバンダナのロゴだが」
「ああ…え、なんか変?」
「それは『大好きな人のイニシャル持ち物に書いてるんだぁキャハ☆』とか
その手のものか?」












「えーと…俺別にグレゴリウス8世は好きじゃない」
「何を言っている?」


マーカーが何処かの頭が軽い女の声帯模写を動作つきで
やってのけたことよりも、いやそれはそれでアラシヤマが
友達100人作るくらい有り得ないのだが、
ロッドの頭の中では『好きな人のイニシャル』発言の方が
強い衝撃を受けたらしい


マーカーの奇行にハーレムとGが飲んでいた酒を 盛大に噴きだしているのをぼんやり見ながら、
…G?


「…あー」
「痴呆症か?」
「マーカーさんのお知り合いでイニシャルGは何人?」
「そのままで一人しか居ないだろうが」
「…やっぱそう来るのね…」


びしりと指差す先にはハーレムとG
迫り来る恐ろしい予測がほぼ正解だという事に
気付いてロッドは軽く青ざめるが、
不幸中の幸い、多少大きめの声で話さなければ
Gの方まで声が届く事は無い


しかし黙ってしまったロッドに機嫌を損ねたのか、
飲みかけのチューハイの缶を原型を留めていない
程度まで握りつぶしながら、部屋の外にまで響き渡るような
大音量でマーカーが叫んだ











「Gを思慕しているからそんなバンダナ巻いているのではないのかッ」









「答えろッ」とマーカーに詰め寄られながら
ロッドが本気で泣きかけた時、後ろから
ぬっと太い腕が生えてきて
振りかえる間もなくその腕の中に抱え込まれた


「ん?何だG邪魔するな」


抱え込まれた、というよりはがっちり拘束された
ロッドは唯一動かせる足をバタつかせて逃走を試みるが、
筋肉量だけなら特戦一を誇るGの腕力に敵うはずもなく
酔いのせいで弱まった思考力をもってその身を預けることにした


「だーもうどうでもいい…」
「どうなんだロッド!Gを愛しているのか!」
「そうだ」


毛先から軽く発火しながら怒鳴るように話す
マーカーの問いに答えたのは本人ではなく、
それを拘束しているGだった


何を言い出すのかとロッドが口を開きかけるが、
Gが素早く顔ごとその手で覆ってしまったため
発声どころか呼吸すらままならなくなってしまった


「ロッドは俺を愛しているんだ。解かったか?」


くぐもった声を上げるロッドを腕力で拘束したまま、
Gは淡々とマーカーに確認を取った


嵐のように展開した状況を酔ったマーカーが飲み込む
までには大分時間がかかったが、Gの言葉を意味が
解かると2,3度目を瞬かせた


「なんだ、やはりそうか」


満足気に不遜な笑みを浮かべ、
隊長のお酌に向かったマーカーを
見やり、Gは一つ息を吐いた
ロッドからの反応が何も無いなと思って腕の中を
見れば、酸欠でぐったりとした金髪イタリーが
最後の力を振り絞って脱出を図っていた


Gが慌てて顔を覆っていた手をどけると、
ひゅっと一気に大量の空気を吸い込んでしまった
ロッドがげほごほと盛大にむせた


焦りながら背中をさすっていると、
がしりと胸倉を掴まれた


「Gぃいい〜」


涙目になりながら額同士をぶつけ、
目前でぎりぎりと睨みつけてくるロッド
になすがままにされながら、Gは小さくすまん
と謝った


「ったく、死ぬかと思ったろッ」
「…ああ、すまん」
「だぁああッ!」
「怒らんのか」
「何がッ!」


相変わらずの無表情で繰りかえされるGの
謝罪にロッドがイラつき、挙句あからさまな
自分の態度を解かっていないかのような発言に
ロッドは乱暴に返した


「さっき…ロッドが俺を愛してると言ったことだ」


表情は変わらないが幾分言いづらそうに
Gがぼそぼそと話すと、
ロッドは面食らったように え、と小さく
声を出し


しばしの後にやりと笑みを浮かべた





「マーカーちゃんをどうにかするためだろ?」
「む…」
「まぁ良いんじゃねぇ?」
「だが…」


もごもごと口の中で話し、煮え切らない
態度を取る態度にロッドはどうしたものかと
考えるが、ふと浮かんだ名案にもう一度顔がにやりと
歪む


「なんかもう仕方ねぇから、本当に愛してやるよ」





ばちん、と漫画のような解かり易い
ウィンクを投げつけられ、無表情で目を白黒させている
間に、いたずらが成功したのが嬉しかったのかロッドは
すたすたとアラシヤマをからかいに台所へと
足を向けていた


ロッドの発言は酔っているせいだろうとか、
以外にも嫌悪感が露も浮かばなかったのも自分が
酔っているせいだろうと考え、目の前のチューハイに
口を付け一気に飲み干した


「G、それはロッドのものだぞ」


ハーレムにお酌してはずのマーカーが振り返って
Gに声をかける
Gはそうか、とだけ返して残りを飲み干した
まだ酒はごろごろ転がっているのだから大丈夫だろうと
飲み干した缶を潰そうとしたが、にやにやとこちらを
見ているハーレムに何ですが、と視線で問いかけた


「いやぁ、間接とは言えちゅーかますなんてやるねぇ」


しゃーしゃーと蛇舌を出しながら心底楽しそうに言う
ハーレムに絶句し、手の中の缶をマジマジと見つめた後、 
Gはその缶を力一杯握りつぶした



その頬が赤く染まっていたのが酒のせいなのかは
誰にも解からなかったけど







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有り得ないほど甘い
シンアラが薄幸ならGロドは蜂蜜+メープルシロップの
ホットケーキですな(いきなり食べ物)

しかしリースウェルは甘いモノは好きですが
限界が低いです
マリオ○クレープとかの店舗の前で本気で吐きかけて
周りに白い目で見られて大変でした

自分に合わないものを食べている時の顔は
爆笑ものらしいのですがそうなのでしょうか(聞かれても)




2004.07.21up
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