第2のパプワ島に特戦部隊が乗り込んでから早一ヶ月。
前の島と比べると近代的なものが揃っている方だったのでしばらくは
なんの支障も無く生活出来てきたのが、最近になって問題が発生した。


大抵の料理は島にある食材でまかなえるのだが、ジャンクフードの類は
全く存在するはずもなく、それを主食としてきたロッドが文句を言う。


リキッドの作った食品添加物が一切入っていない極上のケーキも良いけど、
たまには体に悪そうな薬がどっぷり使われている頭の悪そうなお菓子が食べたいと。





そう言うロッドが一番頭が悪そうに見えたのは誰もが認めたことだ








































極彩色の我がまま










































「黄緑色のアイスクリームが食べたい」



頭が悪そうな発言をするのは構わないが頼むからこちらの頭を
痛くしないで欲しい、引き攣った笑みを浮かべたリキッドがそう心で
呟いたのは至極当然の事だ。口に出したら逆ギレされるだろうから絶対に
言わないけど。



夕飯時を少しすぎた当たりに襲撃しに来るあたりがロッドの抜け目無い
ところだ。今パプワハウスはちょうとデザートの時間で、今日のメニューは
イチゴアイス。天然色のため淡いピンク色をしているのがロッドには気に食わない
らしい



「駄目。そんな体に悪そーなモン」
「俺もう大人だよ」
「違うの食べてたら子供が食べたくなるから、駄目!」



母親じみたリキッドの説教にロッドが唇を尖らす。



口ではぶーぶーと文句を垂れていても、ロッドに一応出してみたイチゴアイスの
皿はすっかり空だ。スプーンを何度も口に咥えてお代わりを要求している
らしいが、これまた子供たちが同じように欲しがるといけないので無視を決め込んだ。







「そういや、隊長たちと来なかったのか?」







何か食べ物をたかりに来る時は特戦部隊総出で突入してくるのに、今日に限っては
ロッドが一人のこのことやって来ただけだ。
ハミガキに向かったロタローとパプワを見送って、ロッドに向き直ると事態は
悪い方向へと向かっていた




「聞いてよリキッドちゃん!マーカーってば酷いんだよ寝ぼけて俺の腕に噛み付いて」
「燃やされなかっただけ良いじゃん、愚痴んなら帰れよイタリア人」
「せっかく干した洗濯物泥沼まで飛ばされたく無かったらしっかり聞いてね」
「はい解りましたロッドさん」




早々に話を終わらせようとしたリキッドの逃げ道を脅しで塞いで、ロッドはにっこりと
微笑んだ。




「で、マーカーちゃんってば俺の腕の事魚肉ソーセージだと思ったらしくてさー」
「魚肉…いや、まぁ色はそっくりだけどさぁ…」
「『魚肉ぅううッ』て叫ぶし間違いに気付いたら鼻で笑って去っていくしー
 ちなみにマーカーちゃんは一度も覚醒してないから」




そう言いながら誇らしげに目の前に差し出されたのはロッドの魚肉ソーセージもとい
歯型のくっきりついた腕。うっすら血が滲んだ傷口に乾いた笑いしか浮かばない。
この分だと明日には赤と青の斑模様になってさぞ気持ち悪いんだろうな、という
考えとともにロッドへの憐れみが一気にあふれ出してきた



感情に動かされるまま冷蔵庫へと向かい、冷凍庫の扉を開けてカップアイスを
一つ取り出す。



ロッドが望むような極彩色な緑色では無かったが、薄い緑色のアイスがそこに
おさまったいた。途端目を輝かせたロッドに無言でアイスを手渡すと、
いただきますもそこそこに一気に頬張られる








「あ!アイス二個も食べてるッ!」
「贔屓はいけないぞ」










ハミガキを終えたちみっ子二人がアイスを片手にスプーンを咥えているロッドを
見つけてぎゃんぎゃんと喚きたてる。
リキッドは無言で同じ種類のアイスを取り出し、二人の鼻先に近づけた。


鼻先に食べ物を突きつけられれば反射的に匂いを嗅いでしまうものだが、
アイスから漂う香りが何かを認識した二人はげんなりとした顔になり、ついで
それを美味しそうに食べるロッドに生暖かい視線を送った





「あの人はジャンクフードばっか食ってるから味覚おかしくなったんだよ」
「…うん…そうだよね…」
「ちなみに添加物どころか調味料も一切使ってない。勿論卵もミルクも」
「それじゃただのシャーベットじゃん…」




前に冗談で作ってそのまま放置しておいた物が片付いたおかげでリキッドは
いつもより上機嫌だ。ちみっ子たちがパジャマに着替えている間に布団を敷いて
いると、ロッドが三個目のアイスに手を伸ばす。



冷凍庫整理に役立つのは良いがさすがに腹を壊すんじゃないか。
いつも上半身裸で、今日に至っては少し気温が高いからと言ってもうほぼ
全裸だ。目の毒と言うわけでもないが、マーカーに準じて魚肉ソーセージの塊
だと思っていれば良い。そう思うとなんだか小腹が空いてきた





「ロッド、子供たちもう寝る時間なんだけど。アンタ帰らなくていーの?」
「過保護な親が居るわけでも無いしー」
「酒盛り始まったら獅子舞が連れ帰りに来るんじゃない?」
「言うなよ、本当に来たらどーすんだ」
「強制的に連れ帰るに決まってんだろーがよ」














へらへらと会話をしていたロッドの表情がそのままビキリと固まる。
還って来たのはリキッドの呆れ声などではなく、程よく酔っ払った獅子舞様の声。
アイスを片手に背筋に冷たいものを走らせているロッドを見て、俺にも寄越せと
にやりと笑った



「はいはい」



スプーンなどは使わずに一口で中身を口に放り込んで味わっているハーレムに
怒られると思ったが、意外にもそれは無かった。その代わりに微妙な表情を
してすでに2個のアイスを食べきっているロッドを見つめる







「…隊長?」
「昔野菜が嫌いで残しては兄貴に怒られてな」
「はぁ」
「人参とかトマトでシャーベット作ってもらったりもしたが、いくらなんでもこれは初めてだ」






神妙な顔のハーレムが空になった容器をリキッドに無言で手渡す。
喜ばれているのか呆れられているのか判断しづらい。いつもの酔っ払いの理不尽親父なら
いくらでも対処のしようがあるが。昔を思い出したせいか今のハーレムはどちら
かと言うと戦場に身を置く司令官の表情だ。非常にやりづらい





受け取った容器を台所に置いて水に浸しながら、固まったロッドと真面目な顔をして
突っ立っているハーレムを交互に見つめた






「ロッドもまさか舌まで馬鹿になってるとはなぁ…聞いてっか、ロッド」
「ぐぇッ」





どかりと背中を蹴られたロッドがくぐもった悲鳴をあげて床に倒れこんだ。
素早くちみっ子たちから煩いと怒声が飛ぶ。





「お前、明日から料理以外の全部の家事担当な」
「ぇえええ!?」
「嫌ならさっき食べたアイスが何味か当ててみろ」
「えー…解んないです」
「リキッド、正解教えてやれ」




話をフラれてう、と言葉に詰まる。
はっきり言ってロッドは偏食が酷くて、戦場から身を引いてからそれが
顕著になった。野菜を食べようとしない以前に腹が空いたら本能のままに
その辺にあるお菓子を手当たり次第に食べ、食事時にはすでに満腹なのだ。



おかげでGと張ると言われていた大量の筋肉は脂肪に取って代わり、
今ではムキムキではなくムチムチになってしまった。



そんな生活を続けてしまったせいかは解らないがロッドは自然そのままの
味が苦手になってしまったらしい。マーカーから聞いた話だから確信は
無いし、味覚障害を引き起こしているのだから関係無い気もするが




「ねぇねぇ何味だったの?」




しかし此処で退いてしまっては後から獅子舞に何をされるか解らない。
ロッドの惨劇を期待してにやにやと笑っているハーレムを見て、リキッドは
ごくりと生唾を飲んだ




























「ピーマン…と、その他緑っぽい野菜」








































「なんだ、腹下しか」



ハーレムとともに帰ってくるなりトイレに駆け込んだロッドを見て
マーカーが呆れたように吐き捨てた。事情を知っているハーレムだけは
腹を抱えて笑い転げている。
唯一Gだけが心配そうにトイレの扉の前に立って大丈夫かと声をかけたが、
聞こえてきたのはすすり泣くロッドの声だけだった




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ロッドは優しいというか卑しいので一度食ったものは絶対出しません。
一番好きなキャラに対して卑しいとか言うリースウェルは駄目な子だと思いました。


ロッドが太ったのは定説になりつつありますが、きっとそろそろ味覚障害も
出てきていると思います。


これはGロドと言い張ってみます。最後にほのめかすだけでカプと言い張る根性は
自分なりに大好きです!

2004.11.06up
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